晩秋の常栄寺雪舟庭で夜の紅葉撮影

仕事で写真を撮影している人間にしか共感されない事だとは思うが、

(恐らく)大多数のプロ・カメラマンはプライベートでは写真をあまり撮らない(と思う)。

かく云う私がそうだ。

仕事でも無い日にカメラを見るのも(基本的には)嫌だ。

無論、仕事であろうとプライベートであろうと「撮影する」という行為そのものが

好きなプロカメラマンも居るだろうが、

私にとって主に仕事で使っているCanonのカメラは

大工さんにとってのノコギリやカンナのようなモノ(イメージが古過ぎるか…)で、

仕事道具でしかない。

そんな私が(本当に)久しぶりにプライベートで写真を撮りに出掛けた。

特段深い理由があった訳では無く、単に知人に誘われたからだ。

この日は常栄寺にある、雪舟が築庭させた枯山水の庭が紅葉に合わせて

ライトアップされるという話だったので「行ってみるか」ぐらいの気持ちで

夕方から出掛けてみた…のだが、

常栄寺の駐車場に着いてみると11月の終盤(11/24)とは思えない程

生暖かい夜で、ノリノリで赴いた訳ではなかったのだが、いざ撮影を初めてみると

２時間半ノンストップで撮影し続けていた。

私の中のフォトグラファー・スイッチがオンになった…

…のかどうかは自分でもわからないのだが、

眼前に広がる美しい風景を前に、撮影しないではいられない衝動を感じたのは事実だ。

庭を一通り撮影した後本堂に上がり、畳に座って庭を眺めると、

不思議と心が静まっていくのを感じた。

帰り路、美しいモノを見た後の感動の余韻が私の心を鎮めていたのだが、

ふと「あ、今日の撮影、ギャラ発生しないじゃん」という煩悩の塊のような

心の声が私の中に響き渡った。

やはり私は、悟りに至るまでには煩悩が多過ぎるようだ。